The smell of sky

Photographer。知らない土地と、スタンダードが好き。アート、自然、田舎は心がヒリヒリして落ち着く。最近は400年に1度の大地震を経験して新たな悟りを開く。煩悩がある人間はこんなことがないと気づかない。

冬の庭

 天気のいい日曜の朝は庭に出て木々や植物を眺める。
昔はそもそも植物に興味がなかったのだが、好きになると
いろいろ見えてくるものだ。
 最近は冬の時期に枯れた色の植物が愛おしい。
いや、私にははっきりと美しく見える、という方が正しいだろう。

 人間もそうだが、分かりやすく格好良く、美しく飾ったほうが魅力的だし
引きもいいが、美しいだけの人間なんて飽きてくるし、そもそもそんなやつは
本当はいやしない、いるはずがない。
 春や夏に華やかに飾る木や花も秋や冬には枯れる。
それでもよく見るとまたそこには違う味があり、そんな時期があるから
また華やかさが引き立つ。
 自分で植えた植物を1年中見ていると、はっきりとそう言える。

 司馬遼太郎さんの庭も好きな植物(雑木がわりと多かった)を
ほどよく手を入れないで育てられていて、そういうスタイルが好きだったそうだ。
 ターシャ・テューダも枯れた枝や蜘蛛の巣まで愛おしいというようなことを言っていた。

 美しくない部分、というと誤解もあるだろうが、そういう自分も大切にして
時には堂々と人に見せて生きていきたいと思う。
その方がもっと、自分の心が美しくなれるだろうから。

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去年から植えたセージ。葉は落とさないがグリーンに赤みが入って深みを帯びる。
もはや冬のほうが美しいと思う。

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オレガノも一株植えたものが秋までに増殖密生して冬に色が深くなる。赤い枝も美しい。

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益城から一緒に引っ越した大好きな雑木、山香ばし(ヤマコウバシ)。
クスノキ科で冬でも葉を落とさない。この木の枯れ葉の色はあまりに美しい。
茶と赤とゴールドが混ざったような、枯れてなお品格と存在感を放つ。

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バジルは完全に枯れて葉も落とす。昔は1年草と聞いていた気がするが春になると
雑草のように力強く緑をたたえる。この生命力が大好きだ。

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アップルミント。皆さんの目にどう見えるか分からないが、繊細な枝のラインには
美しさを感じてならない。細々と寒い冬を生き抜いている様も好きな要因かもしれない。

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おまえはどうなんだ。強く太く、時には繊細に、そして人には優しく生きろよ。