The smell of sky

Photographer。知らない土地と、スタンダードが好き。アート、自然、田舎は心がヒリヒリして落ち着く。最近は400年に1度の大地震を経験して新たな悟りを開く。煩悩がある人間はこんなことがないと気づかない。

新時代の名玉

やっと24-70mm/f2.8を手に入れた。
ニコンユースのプロならとっくに手に入れていてもおかしくないレンズなのだけど、自分は型遅れの28-70mm/f2.8の写りが大好きだった。90年代の、レンズに鉛成分をふんだんに使ったマルチコートの玉はいかにも人間くさい良い写りをする。ニコン得意の厚みのある、どこか重たさを秘めた表現は自分の好みともマッチしていたし、逆にデジカメ時代の新型レンズは写りが良すぎて(それが嘘っぽく感じられて)気持ち悪かったので購入に躊躇していた。しかし、最近は僅かに動画の仕事もいただくようになったのと、自分の中に新しい表現が芽生えてきたことなどがあって、そうなると旧式の玉では自分の狙いから若干ズレを感じるようになってきた。どうあっても写真はリアルさの追求であり続けたいことは変わらないのだけど、今芽生えつつある新しい表現は新型ナノコートレンズのほうが表現しやすいと考えたということでもあるし、もっとリアルにいきたければ結局はフィルムなのだとふんぎりがついたこともある。
今日、軽く使ってみたが、ニコンのナノコートはやはりとんでもないレンズだ。好みはともかく、今の一眼レフ時代では群を抜いた21世紀のレンズだろう。映画で言えば3Dの「アバター」だろうか。すごいの一言。しかし、だからこそまたずっと購入しなかった玉なのだ。なぜなら、「アバター」を良い映画だと私は思っていないんだから。あくまで好みの話なんだけど。
要は感性とそれを表現する腕。感性をカタチに変えるのが自分の役割なら使えるモノはなんでも使おう。だけど、死んでもアバターは作らないからな。

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