The smell of sky

Photographer。知らない土地と、スタンダードが好き。アート、自然、田舎は心がヒリヒリして落ち着く。最近は400年に1度の大地震を経験して新たな悟りを開く。煩悩がある人間はこんなことがないと気づかない。

家族の花

先日、佐賀県にお住まいの、ある奥様のお宅へ取材でお邪魔しました。

ご夫婦とも東京出身でキャリア人生をスタートしながらも、自然や田舎の素晴らしさに惹かれ、山村に超してもう13年。養鶏を営みながら暮らしていらっしゃいます。

その経歴にストイックなものを感じていたので、それはそれで楽しみでもありながら伺いましたが、お会いしてみるとなんとも開放的で自由主義。最初から明るい笑顔で出迎えていただき、生きたいように、楽しみたいように反応してきただけだと屈託のない、柔らかな目で語ってくれました。

その語り通りというか、鶏舎の横に立つご夫婦手作りの家の中は華やかな愛情で溢れていて、取材当日、旦那さんは北海道へ出張、娘さん2人は学校だったので奥様としかお会いしていませんが、家族がいかに日々を楽しんで暮らしているか、深く覗き見る必要もないほど部屋中に見てとれました。大袈裟な言い方なら家中に花が咲いているような、そんな気配を感じてしまうほどのお宅でした。

この冬には地主さんから譲っていただいた山に新しい家も建ち、来年にはカフェも建てたいと夢を膨らませるご夫婦は、単に湧き出る夢を楽しんでいらっしゃるだけでなく、村の方々とも親身にお付き合いして、人とのコミュニケーションを一番に考えているとのこと。

「田舎に入ると、近隣の方との距離の近さが疲れるとおっしゃる方もいますが、人はもともと1人では生きていけず、かえって頼りにされたり声をかけていただくことは信頼の証だと思うんです。何かを頼むということは信頼がないとできないことですから。だから、もっと声をかけてもらえるよう、頼ってもらえるような自分になっていこうと思うんです。」

と、やはり柔らかな笑顔と真っ直ぐな目で話してくれた奥様はすごく輝いていて、この人に、この家族にまた会いたくなってお客様が卵を買いに来たり、村の人がふらりと訪ねてきたりするのだろうと、勝手に納得しながら、まだずっと居たくなる思いを置いて帰ってきました。

次回、旦那さんと娘さんに会いに行きます。

家族が揃ったときはどんな花が咲いているのだろう。

今から楽しみです。

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手作りでセンス溢れるリビングです。

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2階の納屋も楽しいスペース。

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お昼をごちそうしていただきました。美味しかったです。

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下の町まで娘さんを乗せて卵を背負って売りに行くと素敵だね、ってやってきたロバのナナちゃんは意外やじゃじゃロバだったらしく、あまり役に立たず(笑)お嫁に行ったそうです。

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この素敵な家族に会いにみんなも行くのでしょう。僕もまた春にお邪魔しよう。

メインカットはここでは出せません(笑)ので、記事も合わせて残りは「Precious」12月号でぜひご覧ください。