The smell of sky

Photographer。知らない土地と、スタンダードが好き。アート、自然、田舎は心がヒリヒリして落ち着く。最近は400年に1度の大地震を経験して新たな悟りを開く。煩悩がある人間はこんなことがないと気づかない。

まるで攻殻機動隊のよう。骨伝導イヤフォンは引きこもりにお奨め。

妄想に浸るのが好きな自分にとって、カセットテープのウォークマンを初めて聴いた時は衝撃だった。景色の変わり栄えがない家で引きこもるよりも、外で引き込もっていられるあの感覚は自分に妙に合っていて、好きな場所で周りとのコミュニケーションを遮断して妄想できることは、最高に望ましい魔法のような道具だと思った。そう言えばオートバイが好きなのも、ヘルメットのスクリーンの中から流れる景色を見ながら、好きに妄想に浸れるからだと思う。

しかし、社会人になって忙しくなって、フォトグラファーになって機材を運ぶ為に車で移動しなくてはいけなくなって、いつの間にか随分と引きこもれる時間が減った。これは個人的趣向としても、職業的にも大問題。お風呂やトイレで発想が浮かぶという人もいるようだけど、自分には妄想して浸れる時間が重要で、まず自己確立、自己保存として必要なので発想よりもよほど重要で問題だ。因みに車という道具は個人的には引きこもれない。考え事はできるけど、妄想は出来ない。なんでだろう。知らん。

とにかく、手っ取り早く引きこもる自分流の方法は、オートバイで旅をするか、ウォークマンか、なのだけど、最近はオートバイすらも乗る暇がろくにない。まあオートバイで旅をするほどの時間は手っ取り早くもないといえばそれまでだけど。そこで消去法で残るのはウォークマン。しかしこれなら簡単!という訳にはいかない。いったいいつ聴けるのだと。そもそも一人になる時間がないのだ。耳にフタをして周りを遮断していい時間がないのだ。実は今までにも何本もイヤフォンを気分で買って試しているけど、結局は装着するタイミングがない。時間がない。そりゃあ引きこもれないよな。

そこに、そこに!である。

全く新しい概念で、まるであのウォークマンのように突然に衝撃的なものが現れた。
そして、手に入れた。

骨伝導イヤフォンである。

骨伝導イヤフォンとは、簡単に言うと頭蓋骨を振動させて、直接聴覚神経に音を届けるもの。最近運動の為に可能な時は自転車移動をするようにしているので、何か音楽でも聴きたいと思ったのだけど、通常のイヤフォンでは耳を塞いでしまって危ないから何かないかと調べたことから発見した。この骨伝導イヤフォンの面白いところは、流す音楽は耳の奥でまるでイヤフォンを深く差しているかのように鳴っているのだけど、耳を塞いでいないので外の音は通常のまま入ってくる。これは人類史上初の体験だ。

そして、その衝撃から次に何を連想したかと言えば、「攻殻機動隊」だった。攻殻機動隊は、未来のアンドロイド化した人間の脳が直接ネットに繋がっている電脳化社会で、仲間が脳に直接話しかけてくる場面が数多くあるが、この骨伝導イヤフォンはまさにそれを体感できる。因みに購入したイヤフォンはBlue Tooth方式で接続、音楽はもちろんマイクも装備していて電話も話すことができる。会話が直接聴覚神経に届くなど、攻殻機動隊さながらだ。

最初はこれが引きこもりに役に立つとは全く考えていなかったが、使ってみるとウォークマンの引きこもり感はそのままに気分次第で音楽と共に脳内を遮断できて、意識を外に持っていけばいつも通りの外。自転車、車内、仕事中の事務所、自宅、いつどこで装着していても大丈夫。いつ人が話しかけても、電話がなっても大丈夫。なんなら脳内で音楽を聴きながら耳掃除ができる。つまり引きこもりし放題である。

実際に今も装着中、音楽を聴き、引きこもり気分で書いている。そこにスタジオの電話が鳴った。普通に対応。電話を切ると、また引きこもりモードに入る。完璧である。

もしもオープンな引きこもりが好きな方がいたら、お奨めです。
電脳化、してみませんか。


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