The smell of sky

Photographer。知らない土地と、スタンダードが好き。アート、自然、田舎は心がヒリヒリして落ち着く。最近は400年に1度の大地震を経験して新たな悟りを開く。煩悩がある人間はこんなことがないと気づかない。

 JALのスカイワード(機内誌)に浅田次郎さんのエッセイがある。
ほぼ毎月飛行機に乗る私は、それを読むのがいつも楽しみだ。

浅田次郎さんの作品は大好きでそれなりに読んでいて「霞町物語」の
くだりで写真館を営むじいさん家族の話は人間模様はもちろん写真を撮る
人間の心情まで深く汲み取った作品で、私はおおいに泣いた。
一流の作家の洞察力と思慮深さに感服したのだ。

 先月だったと思う。スカイワードのそのエッセイでは北海道の蟹の話しが
載っていて、それは毛蟹が大好きな浅田さんが、北海道の海鮮業者
らしいところから「希に見る美味しい蟹が獲れた」という営業の電話に
まんまと高値で買わされ、送られてきた蟹は何年冷凍されたのか中身が
スカスカになったもので、結局それが詐欺のようなものだった、という話しだった。

 そして今日、うちの会社に電話がかかってきた。
育美(スタッフ)が電話をとったのだが、「はい。はい。ええ。はい。。」と、
いかにも心が通じていない風の会話が妙に長い。
 どこかの電話営業だとは思ったが、数分後に
「はい。とりあえずうちはけっこうです。ありがとうございました。。。」と、切った
育美に「なんだった?」と聞くと、

 「なんかですねぇ、蟹のいいのが獲れたからって、北海道からだっておじさんが
言うんですよー。」

 浅田次郎じゃん!

 何も知らずに電話をとっていたら、おそらく買わないまでも百戦錬磨の相手の
リズムに乗せられていたかもしれないが、こっちは事前に浅田次郎さんのエッセイ
を読んでいる。

 「ちくしょー、電話代わってなんかひとつくらいおちょくってやりゃあよかったー。」
と、浅田さんのファンとして敵討ちでもしたい気分になった。
もういっかいかかってこんかいなー。いじめてやりてえぇ。

 みなさんもこの時期は気をつけてくださいね。

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浅田さんが言うように蟹は毛蟹が美味いようです。(私は越前蟹も好き)
因みにタラバガニは正確にはヤドカリで蟹ではないらしいです。