The smell of sky

Photographer。知らない土地と、スタンダードが好き。アート、自然、田舎は心がヒリヒリして落ち着く。最近は400年に1度の大地震を経験して新たな悟りを開く。煩悩がある人間はこんなことがないと気づかない。

神様のいたずら

 朝から電話で「今日、飲みにでもいかん?」という。旧友の水中写真家、尾崎たまきである。東京から帰省していることの連絡も相変わらずなしでいきなりだ。苦言のひとつも言ってやろうかと思ったが特別予定もなかったのであっさりと承諾。その後、仕事が慌ただしくてあっという間に夕方になる。
因みに飲みにいかない?というくせにお店の段取りなどは当然のごとく私の当番になる。夕方もう一度電話して「今日は二人でやるかい?」と質問すると、「あぁ、なにも考えてなかった」という。さらに「あ!コーダちゃんに久しぶりに会いたい!」と言いだしておいて、その呼び出しも私の担当なのだ。いまこうやって書いていてるが、これほど至極奔放な女に段取ってやっている自分にビックリだ。

 飲んだ場所はハービーズの隣にある鳥亭。たまきと私の家のどちらからでも近いから。コーダちゃんは大分から来ているフランス人が泊まりにくるからちょいと顔だけ出しに来るという。そして、たまきと杯を交わす間もなく、すぐにコーダちゃんはやってきた。互いに5分ほど近況を話すともうお別れになり、コーダちゃんはまたクルマに乗り込んだ。もっとたくさん話したかったのに残念なことだ。
ところが窓越しに見ていると長電話ばかりしていっこうに去らない。そして、終いにはお店に入ってきた。「なんしよっと?」というと、「クルマが動かんと。」と困っている。鍵を借りてチェックすると軽いバッテリー上がりのようだ。しかし、目の前がハービーズというのが幸い。相談に行くと、「飲みよってええばい。こっちでどがんかしとくけん。」の岩根氏の甘い言葉。こういう時には熊本の温かさが身に染みる。
お店に戻るとコーダちゃんはキリンフリーを飲みながら、かどっち(ダンナ)に電話している。フランス人は腹を空かし、かどっちは時間をもてあまし気味、そしてクルマが動かないコーダちゃん。もうここに来てみんなで飲むしかない。
かくして二人で寂しく飲むはずが、グローバルな宴会に変貌した。ついでと言っては大変失礼だが、こんな楽しい流れにはぜひ長崎さんも乗っかってほしいと思い電話すると、すぐに駆けつけてくれた。たまきとコーダちゃんもゆっくり話せたし、大分からの客人ももてなすことができた。バッテリー上がりのおかげで接点のない者同士に出会いが訪れたのだった。

ぼくは、この奇跡を神様の素敵ないたずらだと信じて疑わない。

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Ricoh GR3

前段左から、4カ国語を話すマチナス(日本の歴史や文化もうるさい)、天才コーダちゃん、長崎書店の社長長崎さん、家具アーティストかどっち、ムービーデザイナー木部さん、そして奔放達人たまき。神様に吸い寄せられたこの奇跡のメンバーでまた飲みたいものだ。