The smell of sky

Photographer。知らない土地と、スタンダードが好き。アート、自然、田舎は心がヒリヒリして落ち着く。最近は400年に1度の大地震を経験して新たな悟りを開く。煩悩がある人間はこんなことがないと気づかない。

音楽のご馳走

昨日は早川倉庫で行われたチェリストである坂本弘道さんのチェロ独演「蝶と骨と虹と」に行ってきた。

ゲストは名古屋の劇団、「少年王者館」の街乃珠衣(まちのたまい)さんがダンサーとして参加。
坂本さんは感性主導の方ですが同時に舞台演出をよく理解している方で、ピックアップを複数付けたチェロをグラインダーで粗く弾いたり、ヤスリのようなもので弦をこすったりしながら、それを無数のエフェクター倍音、サンプリングしながら、「破壊と再生(私にはそう感じた)」を繰り返すような、チェロの概念をまったく無視した、いや音楽の概念さえ無視した一つのアート表現を絶妙に構成されていました。
しかし、根っこにはしっかりと音楽の基礎が入り込んでいて、決してゲテモノ的な見世物ではなく、音楽として見事に成立しているあたりが演出、伝え方を心得ていられると、私としては感心しきり。
ときおり入る坂本さんの旋律は心にすっと入り込む心地よさで、初めて「温かい狂気」というものを見た気がしました。

ノイズをあらゆる場面に散りばめて狂ったように弾きながらも、残るのは温かさと優しさ。ひねっているようで実は坂本さんの人柄が真っ直ぐに出た、誰にでも受け入れられる幅の広い音楽です。
後半出てきた街乃さんの「無」と「我」のダンスとの融合は美味しいメイン料理を二品食べているような贅沢ささえありました。

ああ、お腹いっぱいだ。
ありがとうごいます。

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公演が終了して床に散らばった鉛筆が、なぜか僕には再生と希望の後に見えてとても気持ちよかった。