The smell of sky

Photographer。知らない土地と、スタンダードが好き。アート、自然、田舎は心がヒリヒリして落ち着く。最近は400年に1度の大地震を経験して新たな悟りを開く。煩悩がある人間はこんなことがないと気づかない。

Vivitar V3000S

トイカメラもブームから文化として根付きかけている昨今、新製品の登場はいい傾向です。

プロとしてもう16年、駆け出しの頃憧れだったライカやローライも

「宝物だと思いこんだカメラはもう既にゴミである」を信条とするわたしは

普段持ち歩く携帯電話並の扱いで持ち歩いている。

そんな私のいまのお気に入りがボディ、レンズ一式で22,000円のこのカメラです。

底に「Vivitar Japan」と書いてあるので製造は日本製?

ただVivitar(ビビター)というのはもともとロシアです。

で、ロシアカメラといえば日本で一番有名なのは「Lomo」でしょうが

これらのカメラがトイカメラとしてなぜ親しまれているかと言えば

とにかく安価であることと写りが面白いからですね。

では、なぜ写りが面白いのか。

第二次大戦で戦勝国となったソ連は敗戦国であったドイツから優秀な学者たちを

自国に連れて帰ったらしいですがその中にライカ社の設計技師もいたという説が

あります。たしかに写りはそういえば昔のドイツ玉に近い湿度感のある柔らかい写り

ですがまともに性能比較するとドイツ製との差は歴然。

なぜなら工業製品は大量生産品ですからいわゆる下請けの技術が

その製品の質のかなりの部分を占めてしまいます。

当時(1940年頃)のドイツは1/5000mmの精度でネジを切る技術があったそうで

これがカメラから戦闘機の質にまで影響するわけです。

設計技師を連れて帰ったはいいがそれを図面のまま生産する下請けがいない。

そんなアンバランスな図式の中からロシア製カメラは生まれています。

しかし、時代が進化しすぎた今ではそのアンバランスな製品が生み出す写りが

味になるわけです。シャープすぎず柔らかく色は濁る。まともに撮りたい人には

最悪の性能ですが写真を感性で受け止める人にはちょっと楽しい道具。

人間の想像する「美」は精度から生まれるものでもないんですね。

あー。上がりが楽しみ。

これで仕事するんだ。もしよかったらネ。

ふふふ。

R0011313

と、ここまで書いておいて、このブログを覗いていただいた方からVivitarはアメリカ製だと教えていただきました。(恥!)

今まで読んでいただいた方、大変申し訳ありません。そして教えていただいた方、ありがとうございます!!恥は恥としてそのまま日記に残します!そっかー、アメリカ製でもこのトーンを作る人がいたんだなぁ、と改めて考えさせられています。勉強、勉強。