The smell of sky

Photographer。知らない土地と、スタンダードが好き。アート、自然、田舎は心がヒリヒリして落ち着く。最近は400年に1度の大地震を経験して新たな悟りを開く。煩悩がある人間はこんなことがないと気づかない。

空と雲

昨日から雲が変わった。
気づいた方も多いでしょうが、高い空に絹のような繊細な雲。
もう秋が近づいている証ですね。この雲の名前をご存じですか?
昨日の雲を「巻雲」(けんうん)と言います。
「絹雲」と書いてけんうんとも読みますが、これはどちらかというと
イメージ的な書き方で、雲の種類としての名称なら巻雲と書きます。
私が雲に少々だけ知識があるのは、昔飛行機に乗っていたから。
5年ほど毎日セスナで空を飛んで、空から撮影する仕事でした。
だから、自分たちの命を守るためにも空や雲などの知識は欠かせない
ものだったのです。空は間違うと命も奪いかねませんが
みなさん知っての通り、とても美しく惹かれる存在です。
言ってみれば毎日美術館に行くような、そんな感覚でフライトして
いました。鳥のように自由に飛んで、ぬけた空と碧い海、そして日本らしい
海の際まで緑の多い地形を見ていると毎日飛んでいても1年に何度かは
あまりの美しさに涙が溢れていました。
世界を飛ぶ欧米のパイロットも瀬戸内など、日本の「浦」や「津」の
あまりに美しい地形に涙したと聞いたこともあります。
今では地上から見上げることがほとんどになりましたが、あの5年間の
景色は脳裏にはっきりと焼き付けられていつ見上げても空の上から見て
いるような気になります。私の感性はあのときの空によって磨かれて
命ではなく心を奪っていったのでした。

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